実験/量産用 プラズマ・真空装置メーカーのアリオス株式会社 「プラズマQ&A」

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プラズマQ&A

Q1:プラズマをもっと簡単に測定したい。

A:「簡単に測定する」・・・なるべく早く、あまり費用をかけずに測定するための方法をいくつか紹介します。

1、ラングミュアプローブ

まず、当社でも製作・販売している ラングミュアプローブ
ですが、より簡易的なものは金属線、碍管及び電流導入端子の組み合わせで、自作も可能です。配線概要を 図1 に示します。

トランスを使ったラングミュアプローブの配線例

図1:トランスを使ったラングミュアプローブの配線例

電源は通常、正負電圧出力、電流の方向もいずれも可能な 4象限電源を使いますが、図1 のようなトランス使用により、その代用ができます。トランスの二次側の電圧はプラズマ電位以上が必要ですが、プラズマ電位はプラズマによって異なります。 一般に RF励起の場合は高く、マイクロ波励起の場合は低くなりますが、一概に 何V とはいえません。そこで、トランスは二次側に多数のタップがあるタイプを使ったり、100V : 100V の絶縁トランスを使い、一次側にスライダック (電圧調整器) を入れて調整するといったことも考えらます。 オシロスコープは XYモードにして、図1 のように接続します。抵抗はなるべく小さなものを使用しますが、電流が小さい場合は 10Ω~1kΩなどと調整します。 電流は、I = V/R で換算します。ただし、Rは抵抗の値、Vはオシロスコープの Y軸の電圧です。得られたリサージュ図形を ラングミュアプローブ データの解析 の説明に従って処理し、プラズマパラメータ を算出します。
この方法は精密な測定には不向きですが、1秒以下の極めて短い時間で測定できます。
ですので、短時間でプローブが測定不能になる製膜プロセスでも使用可能です。

2、プラスマ発光分光

光ファイバー式分光器

発光分光は最も手軽なプラズマ測定法の一つです。簡便に測定できる分光器としては、光ファイバー式分光器があります。
これは、浜松ホトニクス、オーシャンオプティクス、AVANTES などのメーカーがあります。測定波長範囲、感度、分解能そして使い勝手などに微妙な差がありますので、目的に応じて選択して下さい。 汎用的な使用に向いているのは、波長範囲が 400~700 nm の可視範囲を含んで広めのもの、感度が高いものです。 光学系、センサが同一であれば波長範囲、感度及び分解能はそれぞれ相反し、ほぼ反比例の関係になります。センサの画素数を多くすると、分解能は向上しますが、概して感度が低下します。 スリット幅は広いほど感度が上がりますが、逆分散がセンサの 1素子の幅より大きくなる条件では、分解能が低下します。
弊社では、分光器の手配からセットアップまで承っております。

分光スペクトルの解析

多くの場合発光スペクトルは、原子、分子の発光スペクトル、さらに場合によっては黒体放射を含んだものとなります。 黒体放射は、一般に 700~900 nm 付近をピークとするブロードなスペクトルになりますが、これはプラズマの温度ではなく、電極やプラズマチャンバーの壁など固体から出ている光を拾っている場合が多いです。

原子からの発光スペクトル

原子からの発光スペクトルは、細い単峰になります。波長を測定し、www.nist.govのオンライン検索あるいは 文献1 を参照し、原子を同定します。一つの原子において複数のスペクトルを観測できる場合は、それぞれの強度比によって、励起状態を類推できることがあります。 例えば、水素原子においては、一般に Hα と Hβ の 2つスペクトルが観測されますが、Hβ の強度比が大きい場合は、励起状態が高いことが予想できます。原子スペクトルの半値幅は、温度がパラメータとなります。 故に半値幅が測定できると、中性ガスあるいはイオンの温度を推定できます。ただし、分解能が高い測定が必要ですので光ファイバー式分光器では分解能をよく検討されて下さい。 なお、イオンの温度はラングミュアプローブの結果からも算出できます。

分子からの発光スペクトル

分子からのスペクトルは主に振動スペクトルとなり、原子スペクトルよりも広く低いピークが等間隔に複数個並びます。 この同定はオンラインの検索サイトでは該当するものがありません。文献2 が良書でお薦めです。最近はアマゾンからオンデマンドで再版されています。

水素の発光スペクトル窒素分子の発光スペクトル も参考にして頂ければと思います。

3、ラジカルの測定

ラジカルはその励起状態によって、プロセスへの寄与度が異なる場合があります。結果的には、プロセスの進行速度で測定するのが最良でしょう。
酸素ラジカルでは、銀の酸化速度から測定する方法が知られています。方法の概略を説明しておきます。
水晶振動子式の膜厚計を検出器として使用し、真空中で銀を蒸着しておきます。 ここに酸素ラジカルを照射すると銀は酸化銀となり質量が増加するので、膜厚計には膜厚が増加したように観察されます。 この膜厚の増加率から、増加質量を求め反応した酸素ラジカルの個数を求めます。 銀の蒸着源はタングステン線に銀線を巻き、電流を流してジュール加熱するような簡易的なものでも可能です。
また、酸化銀が形成された状態で、還元作用のある粒子を照射すると、その質量の減少率から還元粒子の個数を推定することができます。

参考文献

  1. M.I.T WAVELENGTH TABLES Vol.2 Wavelength by Element. MIT Press
  2. R.W.B Pearse,A.G.Gaydon The identification of molecular spectra, Chapman and Hall Ltd.,

・ラングミュアプローブお貸し出し ・お手持ちの分光器を使用した場合のお見積・・・など様々なご相談ができます。

ご相談は、スパッタ,CVD,ダイヤモンド,各種成膜装置のプラズマ・真空技術の専門メーカーのアリオスへ。

Q2:プラズマが点火しません。

A:プラズマ源の放電条件は余裕をもって設定されていますが、経年劣化、使用条件の変化等により放電しない状況に陥ることがあります。 再点火のためのポイントを書いてみます。

1、以前の状態に戻してみる。

改造や条件の変更に伴って、放電しなくなる場合があります。この場合は以前の状態に戻してみることが、常套手段です。 一つずつ条件を戻していき、その条件で放電するのであれば、それが原因です。この手段を使うためには、以前の状態がどうであったか画像やノートに記録しておくと良いです。 放電しない条件が明確であれば、的確な改善方法を提案させて頂くことも容易になります。

2、プラズマ源の汚れ

電極やプラズマ壁が製膜されたりエッチングされたりすると、放電条件が変化する場合があります。電極の場合、絶縁性の物質が製膜されますと印加電圧が低くなったり、放電維持に必要な電流が流れなくなります。 プラズマ壁を絶縁物で構成している場合、導電性の製膜のみならず、絶縁物であっても二次電子放出効率の違いなどから条件が変化し、放電条件が変化することが良くあります。とりあえず、分解して清掃するのが有効であることが多いです。

3、電源の特性変化や故障など

マイクロ波の場合

マイクロ波電源の多くはマグネトロンという真空管を使用しています。マグネトロンの寿命は、通常 3000 時間以上が期待できますが、メーカーの保証寿命は数百時間程度であることが多いです。 寿命が近くなると、通常はマイクロ波出力が次第に低下していきます。 寿命診断の方法はいくつかありますが、アノード電流とマイクロ波電力の両方を測定している場合は、特性が変化する(アノード電流に対しマイクロ波電力が著しく小さくなる等)、マグネトロンの寿命が近いと考えられます。 正常な場合のアノード電流とマイクロ波電力の関係を記録しておくことはこの故障診断に役立ちます。
また、おおよその目安として、アノード電流に 2500~3000 をかけた値が、マイクロ波出力電力となります。マグネトロンの寿命や故障は、マグネトロンを駆動する電子回路を巻き添えにする場合があります。 不具合があるときは直ちに使用を中止し、早めに修理を依頼いただいたほうが故障個所が限定され、修理費が安価にすむ可能性があります。
また、スリースタブチューナー など整合回路がトラブルを起こすことがあります。 スリースタブチューナーは、共振回路の片端になる場合が多く、負荷の電力消費が極端に小さい場合は、導波管あるいは同軸線路の電界強度が著しく上昇し、発熱、破壊に至ることがあります。 挿入素子の挿入長さが大きい場合は特に注意が必要です。スリースタブチューナーの発熱が大きい場合、内部に別のリアクタンス素子を挿入したり、導波管のデザインを変更するなどで改善できる時があります。
また、スリースタブチューナーより EH チューナーのほうが耐電力が高いので、電力が大きい場合は、整合回路の変更もご検討下さい。

RFの場合

RFの場合、大電力を除き ソリッドステート になっていますので、寿命の問題はあまり心配ありません。また、回路的に十分な保護がなされていることが多いです。
RFのトラブルで多いのは、マッチングボックスの焼損です。マッチングボックスは、共振に近い状態で動作することが多いため、わずかな条件の変化で電流や電圧が急上昇し、内部素子の定格をオーバーすることがあります。不調の場合は、素子の焼損などをチェックしてみてください。

直流、パルスの場合

直流、パルス電源の場合、現在はソリッドステートが多いですが、電極などに直接接続されている時は、プラズマの状態によっては厳しい条件にさらされている可能性があります。 電子が主体となる放電現象の場合、その過渡応答は、数 nsec (10-9 sec) 台になることもあり、反射電力により過度な電圧電流がかかり、電源が破壊に至ることがあります。この時の故障耐性は、その電源が想定している負荷やメーカーの経験値に依るところが少なくありません。

プラズマ源のご提案、最適な導波管デザインまで、各種ご相談ができます。

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Q3:プラズマは点火していますが、プロセスが進行しなくなりました。エッチングできません。デポできません。

A:プラズマ電位 の変化かもしれません。
電圧印加のない状態でプラズマによるプロセスを行っている場合、プラズマ電位がプロセスの極めて重要なパラメータになっている場合があります。 プラズマ電位は、通常 10~数百 V の正電圧となり、プラズマから試料に対してイオンが加速されることでプロセスが進行していることが良くあります。このような場合、電極、プラズマ壁あるいは、真空容器の状態変化によりプラズマ電位が変化し、プロセスが成立しなくなることはよくあります。
平行平板プラズマ (CCP) であれば、Vdc として電位を観察することができますが、それ以外の場合は何らかの測定手段が必要です。プロセスが成立しているときに、ラングミュアプローブなどでプラズマ電位などプラズマパラメータを測定しておくと故障診断の際に参考になるかと思います。

Q4:プラズマからのラジカル、イオン、紫外線などを選択して使いたいのですが、どのような方法がありますか。

A:プラズマからは 電子、イオン、ラジカル、励起種、ガス分子、光 を含む電磁波など様々なものが放射されます。ある粒子はプロセスに重要な役割を担いますが、他のある粒子はプロセスを阻害することもあるでしょう。 そのため、これらを選択して使いたい場合があります。逆に研究としては、プロセスに何が効いているかを探るために選択することもあろうかと思います。
プラズマか源からのプラズマ、ラジカル及びイオンの選択方法の一例を 図1 に示します。

プラズマ源からのプラズマ、ラジカル及びイオンの選択方法の一例

図1:プラズマ源からのプラズマ、ラジカル及びイオンの選択方法の一例

(a) は一般的なプラズマ暴露の実験装置の構成です。プラズマの全てが照射されるようにも見えますが、プラズマのフローティング電圧、プラズマ電位が重要なパラメータになることがあります。これらの電圧は、一般的に正になることが多く、結果的に基板にイオンがプラズマ電位分の運動エネルギーを持って降り注ぎます。 一方、何らかの理由でプラズマ電位が負になると基板には運動エネルギーを持った電子が降り注ぎます。このように、プラズマ電位は基板に対する粒子の降り注ぎ方に決定的な影響を与えます。故に試料をプラズマに直接暴露する場合は、プラズマ電位はプロセスの重要なパラメータになります。
ラジカルのみを使いたい場合には、イオントラップを使うなど積極的にイオンを除去する方法もありますが、(b) のように絶縁物で作成したオリフィスを通すことによっても十分な効果が得られる場合があります。この方法は ラジカルビーム源 でよく使われる手法です。 イオンや電子の除去が不十分である場合は、さらに下流に電極で構成されたイオントラップを付けることも可能です。
(c) はプラズマに電極で正電位 (加速電圧) を与え、イオンのみをイオンビームとして引き出す方法です。 (a) のプラズマ電位を積極的に正にフローティングさせてやる方法がイオン源と考えることもできるかと思います。 この場合、イオンは加速電圧分の運動エネルギーを持ちますので、基板に対し高速で衝突することになります。この場合のダメージが問題となる場合は、たとえば基板を正電位にしてやることでイオンを減速することもできます。
イオンを加速する場合、プラズマ密度には充分な考慮が必要です。プラズマのシースが電極の穴経より短いと電極の穴をプラズマがすり抜け、接地電極との間に介在し、電極間に放電電流が流れ、結果として電源がダウンし加速できなくなります。 逆に加速電極近傍に充分なイオンがないと、大きなイオンビーム電流がとれません。このように、イオン源の設計においては微妙なバランスをとる必要があります。 また、加速電極に負電位を印加すると電子ビームを取り出せます。
他に光のみを照射したい場合は、ガラスなど透明な板をプラズマと試料の間に置くことも考えられますが、真空紫外など一部の波長はカットされますので、充分な効果が得られない可能性も出てきます。

プラズマ関連製品

シングルラングミュアプローブ LPMシリーズ
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