2020.06.04[ プロセス用プラズマ診断ツール ]
プラズマの診断には、目的・対象に応じて様々な方法があります。
プラズマ中で生じる化学反応に着目する場合は、分光(発光強度である程度定量化も可能)が、
プラズマの物性値(密度等)を得る場合は、ラングミュアプローブ(弊社ラングミュアプローブの紹介記事はこちら)が、
プラズマプロセスの処理量を定量的に評価したい場合は、プラズマインジケータ™が、それぞれ適しています。
このうち、弊社では株式会社サクラクレパス様が開発された、プラズマインジケータ™「PLAZMARK®」の 取り扱いを新たに開始いたしましたので、本記事でご紹介したいと思います。
1.仕組み
PLAZMARK®は、特殊な色素を用いたインクを、インジケータ(ラベル、シート、ウエハ等形態は様々)にプリントしたものです(ウエハ型は規格品ウエハの表面に直接色素を成膜)。
このPLAZMARK®をプラズマに晒すと、晒したプラズマの処理量すなわちラジカルやイオンの密度と処理時間の積算値に応じて、色素が反応し、インジケータが変色します。
変色の程度は、反応した色素の量=晒したプラズマの処理量に依存しますので、変色の程度=色差値として数値で示すことで、プラズマ処理の結果を定量的に判断出来るようになります。
(通常、色差を目視で判定することは困難ですので、色差計と呼ばれる計測器が用いられます)
2.種類
PLAZMARK®に用いられる色素は、特定の用途に最適化して反応するように設計されているため、以下のような品種があります。
①Arクリーニング用 ... Ar+やHe+などのイオンに反応します。いわゆる(真空の)プラズマクリーナーはAr+によって処理されています。
②O2クリーニング用 ... O2プラズマで生成するラジカル種に反応します。Air、N2、CF4、H2、NH3等のプラズマでも同様です。
③大気圧プラズマ用 ... 大気圧(低温)プラズマ中のラジカル種に反応するように設計されています。
④デスミア用 ... プラズマデスミア(プリント配線基板製造時のスミア(汚れ)を除去する処理)に最適化されたものです。O2+CF4系ガスでの処理に対応しています。
⑤耐熱性 ... 無機色材とポリイミド基材の組み合わせで200℃まで耐熱性を向上させたものです。
⑥ウエハ型 ... セラミックタイプ:無機色材を用いたウエハです。400℃までの耐熱性を持ちます。
⑥ウエハ型 ... メタルフリータイプ:金属元素を含まない有機色材を用いたウエハです。耐熱温度は200°Cです。
3.用途
プラズマで処理された程度を数値で比較出来ますので、以下のようなプラズマプロセス管理に適しています。
1) 同一ワーク上のプラズマ処理量の均一性評価と調整作業
2) 定期的にプラズマ処理量を検査し、プロセスが適正な処理範囲で行われているかどうかの判断
3) プロセス装置の機体差の把握と均一化するための調整作業
4.適用出来ない設備
ⅰ) 不純物の飛散(コンタミネーション)に敏感な設備(多くの半導体製造装置が該当します)では使用出来ません。
ⅱ) スパッタやプラズマCVD、AIPなど成膜装置では、インジケーターの表面に膜が付き、
色差の比較が困難になりますので使用出来ません。(いずれの場合でも成膜を伴わないプラズマの条件出し等ではご使用頂けます)
ⅲ) 400℃以上の高温環境下では使用出来ません。
製品の詳細は、株式会社サクラクレパス様のWEBサイトで確認出来ます。(https://plazmark.craypas.co.jp/)
生産装置の管理などに非常に有効なツールですので、是非PLAZMARK®の導入をご検討ください。
アリオスでは、お客様の装置に合わせたプラズマ計測・診断ツールの選定、プラズマに関するご相談も承っております。
ご不明な点やご質問などございましたら、お気軽にお問い合わせください。
(営業技術部 森)