アリオス株式会社 開発試作

開発試作

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2014.04.18[ Heリークディテクタ ]

営業技術部 T.Oです。

真空部品や装置組み上げにあたり、無くてはならない物がHeリークディテクタです。

アルカテル社製の手動操作タイプのリークディテクタをメンテ・修理しながら使用していましたが、ついに修復不可能になり、急務で社内機を作ってしまいました。

社内には、自動タイプのリークディテクタもあるのですが、使い勝手が良い?(多少無理が利く)手動タイプが業務には必須なのです。
自動タイプの場合は、ある程度大きなリークがある場合や放出ガスが多い時など、 真空度が良くならないと、検出器保護のため次工程に進みません。
大排気量の補助ポンプを追加すれば解決する場合もありますが、手動タイプの切り替えバルブやコンダクタンス調整バルブがあると、 少しずつバルブを開け、検出器内の真空度を維持しながら使用する事が可能になります。
当然、検出感度や応答性が悪くなるため注意が必要ですが、熟練者になると多少条件が悪くても、リーク部分を特定することが可能です。

Heリークテストは、なかなか奥が深い作業です。

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[左:Heリークテスト風景 右:試作機Heリークディテクタ]

今回製作した社内機は、外販するにはまだまだシェイプアップが必要ですが、ご興味があれば、是非お問い合わせ下さい。

また、リークディテクタの派生技術として、
ILV-01型インターロックバルブを開発しました。
通常は手動バルブとして使用でき、停電時には自動でクローズしますので、排気系の安全対策・停電対策に最適です。
電磁バルブ構造ですので、 圧搾空気が不要です。実験室や移動排気システムに最適です。

1972年、大誠産業株式会社が設立して以来、2001年にアリオス株式会社へ改名し2014年で創立42周年を迎えました。
引き続き、お客様に喜んで頂ける装置のご提案が出来るように日々勉強すると共に、新製品の開発を行ってまいります。

(営業技術部 T.O)

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2013.11.28[ マイクロ波の漏洩防止 ]

資料館マイクロ波のページで、マイクロ波の電磁シールドは難しいことを書きました。
これについて、少し解説してみます。

図1(a)は、不完全なシールドの模式図です。
図1 マイクロ波の漏洩
図1 マイクロ波の漏洩(a)、漏洩の模式図(b) 表皮電流による漏洩

アルミホイルで覆うといったやり方がこれに該当します。 内部で発生したマイクロ波は、金属表面で反射を繰り返します。 もし、シールドが不完全な部分(図1(a)では、左下)があると、そこから外へ放射されます。 このときの漏洩箇所は、条件さえ整えば遮断波長以下の小さな隙間であっても表皮電流によって外に漏れ出ることがあります。 表皮電流漏洩による放射の例をλ/4アンテナで示します。
図1(b)は、λ/4アンテナの例です。
これは、高周波を給電した同軸ケーブルの中心導体を波長の1/4の長さだけ延ばした構造になっています。 マイクロ波帯では、このような構造にすると、放射特性が乱れることがわかっています。 理由は、図の矢印の経路で外部導体の内側を流れる表皮電流が、外部導体外側に折り返して、 その電流によって誘起された電界が中心導体から放射された電磁波と干渉するためです。 通常、外部導体外側に漏洩電流が流れないように、 グランドプレーン形式としたり、チョーク構造を設けたりします。 同様なことは、不完全なシールドのわずかな隙間でも起こりえます。 シールド内部に流れる表皮電流が、わずかな隙間を伝わって外部に漏れ出てマイクロ波電界を誘起する、 マイクロ波が漏れる可能性があるということです。 シールドボックスのわずかな隙間というのはなかなか埋められるものではありません。 完全なシールドボックスを作ることは難しいということです。 この解決策の一つというか、最も簡便な解決法の一つは、マイクロ波を吸収してしまうという方法です。

図2にその例を示します。 開発途中の試作品で漏洩が避けられない装置があり、 操作者側へのマイクロ波照射を避けるために作ったものです。 ベニヤ板と垂木で箱を組立て、中にアルミホイルを貼り、その上に電波吸収体を貼り付けました。 装置から放射されたマイクロ波は、マイクロ波吸収体で減衰し、アルミホイルで反射され、再びマイクロ波吸収体で減衰します。 この壁で反射されるマイクロ波は金属の場合に比較し、 約16~20dB(電力比で1/50~1/100)に低下させることが出来ます。 これによって多重反射を防止し漏洩を大幅に減少できるというわけです。 結果的に操作者へのマイクロ波暴露は測定限界以下になりました。 ここで使用した電波吸収体は、60cmx60cm、 厚さ6cmの発泡ウレタンにカーボンを混入した製品です。 メーカーによれば20mW/cm2以上の照射があるときは、 発熱で損傷する可能性があるとのことでした。

図2 電波吸収体を使ったマイクロ波電磁シールドの例
図2 電波吸収体を使ったマイクロ波電磁シールドの例

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2013.11.27[ TEM試料ホルダー用真空排気装置 ]

大学の先生に依頼されて、3年程前に製作した装置です。
原子レベルの高解像を必要とされる観察方法の一つとして、透過型電子顕微鏡(TEM)があります。

TEMは超高真空で測定するため、試料を充分に乾燥させる必要があります。 蒸気圧が高い物質を入れてしまうと試料室を汚損し、 場合によっては高額なメンテナンス費用がかかります。 それで、試料の乾燥用に製作したのが本器です。 左端に飛び出しているのがTEMの試料ホルダーで、本器に差し込んでスイッチ一つで高真空に保つことが可能です。 試料室が非常に小さいこともあり、しばらく放置すると到達真空度は排気装置付属の真空計で10-8Pa台を示します。 ヒーターを組込みアニールする等も可能です。 とても単純な装置ですが、おそらく便利に思われる方も多いかと思います。

正直な話、TEM試料ホルダーの取り付け部以外は、全て市販部品の組み合わせですので、 ちょっと知識があれば、ユーザー様がご自身で製作されることも可能かと思います。 この点では、メーカーの出番がありませんね。 なお、超高真空まで必要でしたら、内面を電解研磨するなど、相応の表面処理を行ってください。 面倒だと思われるようでしたら、是非、当社までご用命をお願い申し上げます。

TEM試料ホルダー用真空排気装置

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2013.05.28[ スイッチングボックス2 ]

下記で少しお伝えしたスイッチボックスですが、多くの特注対応を承っております。

下記の画像は、数百kHz 3Aの電力を96点切り替えられるスイッチングボックスの出荷前の試験を行っているところです。H100mmのJISラックに収めました。 完全な50Ωにはなってませんが、内部はインピーダンスを考慮し、クロストークも抑えた設計になっています。 出口のコネクターは、出力先の利便性から57タイプのコネクターにしました。同軸コネクタの仕様ももちろん可能です。 制御は、USB経由でパソコンから行ないます。プログラムをお客様が組まれるとのことで、LabViewのライブラリを提供しました。 表パネルには接続先の番号を表示するよう7セグメントの表示器をつけました。

高電圧、高抵抗など多くの技術的ノウハウを蓄積しておりますので、信号、電力のスイッチングでお悩みであれば、御相談頂ければ幸いです。
スイッチングボックス

(編集子ss)

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2013.05.08[ マイクロ波液中プラズマ実験装置AMPL-1500 ]

手軽にマイクロ波液中プラズマが発生可能な装置AMPL-1500を開発し、販売を開始しました。

マイクロ波液中プラズマは、純水はもちろんのこと、混濁液、汚水、あるいは有機溶媒でも、 プラズマが発生させることが可能です。本装置は、各種化学反応、溶液の改質実験、 微粒子作成などの実験にお使いいただけます。

共同研究開発、受託研究も承っております。お気軽にお問い合わせください。
本製品開発は、平成20年度エコイノベーション推進事業(NEDO)
ならびに平成22~24年度戦略的基盤技術高度化支援事業を受託して行っています。

AMPL-1500 is experimental device to generate microwave plasma in liquid at atmospheric pressure. Plasma could successfully induced by radiated microwave from pointed electrode in liquid. Microwave power emitted from magnetron is introduced into liquid through a waveguide and a coaxial waveguide transducer and generates plasma. Silver cations from silver nitrates could be rapidly and completely reduced to generate metallic silver nanoparticles using this plasma source without any addition of reducing chemical reagents. Optimization of electric conductivity of the reaction solution was not needed. When the material of the electrode was changed to platinum from tungsten, platinum nanoparticles were produced by vaporization into pure water. Both these preparation processes can be expected to produce lower contamination than chemical synthesis. This development was supported by the "Eco-innovation Promotion Project" of New Energy and Industrial Technology Development Organization (NEDO), Japan and "Supporting Industry" of Ministry of Economy, Trade and Industry (METI), Japan.

マイクロ波液中プラズマ実験装置AMPL-1500

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2009.04.09[ マイクロ波電源コントローラ ]

製品であるようなそうでないような、そんな製品の御紹介です。

ミクロ電子にUM-1500EC-Bというマイクロ波電源があります。 これは出力が電子レンジと同様に断続ではありますが安価です。 出力が断続式ですので、真空中のプラズマ発生用途では使いづらいのですが、 マイクロ波加熱、化学合成および分解といった分野では支障なく使える場合が多いです。 但し、この電源は装置への組み込みを目的とした製品ですので、 使う場合は、コントローラーをお客様自身が作らねばなりません。

それで作ってしまったのが、この製品です。JISラックサイズで、高さ50mmとコンパクトです。 パネルはシンプルですが、中身は凝りました。内部にマイコンチップを内蔵し、 パソコンおよびインターロックの入出力を備えており、外部からの制御も可能です。

ミクロ電子のホームページ
[備考] ミクロ電子のマイクロ波電源[UM-1500EC-B]は、組み込みを目的とした製品であり、一般用途向きではありません。 使い方について十分に御相談されること、アイソレータなど保護素子を付加するなどしてお使いになられることをお勧めします。

マイクロ波電源コントローラ

(編集子ss)

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2009.02.09[ MBE装置 ]

弊社ではMBE装置の製造に20年以上の実績を有し、豊豊富な経験と知識をベースに、 基板サイズ1"~6"、Ⅱ-Ⅵ族、Ⅲ-Ⅴ族対応等お客様のご使用環境・使用目的に最適な製品をご提供しています。

弊社はコンポーネントの販売だけでなく、装置の製作も承っております。特注対応など得意としておりますので、是非お問い合わせ下さい。

製品ページ:MBE装置

MBE装置

(営業技術部 T.O)

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2008.12.28[ スイッチングボックス1 ]

多数の信号を測定したり、複数の電源を切り替えて使用したい場合があります。

こうした製品は意外に高価でしかも用途にぴったりのものが無いです。そんなわけで作ってしまいました。 スイッチングボックスは、用途に応じてさまざまなデザインが考えられます。 どうせ作るなら、機能に少し欲張ったものを考え、測定を目的としたパソコン制御による16~100点という多点切り替えと、 高電圧電源用で多数の電源を多数の出力先へ切り替え接続可能なマトリックスタイプを作りました。
パソコン制御で切り替えるスイッチングボックス

上記の製品は、パソコン制御で切り替えるスイッチングボックスです。

パソコンとのインタフェースは、USBです。±100V 1Aまでの入出力に対応します。
弊社マルチポイントラングミュアプローブ用に開発しましたが、汎用としても使用可能です。LabViewに対応しており、ユーザー御自身で制御をプログラムすることが可能です。 ここで例示した製品は、16点を1点に接続する製品です。既にラインナップとして、16、100点を揃えており、今後、32、64点を加える予定です。

下記の製品は、1.5kVの高電圧を切り替え可能なスイッチングボックスです。4台の電源を6系統へ出力しています。 同一出力に複数の電源を接続すると電源出力がショートし非常に危険です。本電源は内部で排他処理を行い、操作を誤っても電源がショートしないように制御しています。 操作性と視認性に大変優れた照光式トグルスイッチ採用しています。トグルスイッチは、押しボタンスイッチと異なり、指示操作の視認性、すなわちトグルの上下が一目でわかりますので、使ってみました。全体は、高さ50mmのJISラックと小型に作られています。 停電対策として、停電復旧時あるいはスイッチングボックスの電源を入れたときにONになっていても全てOFFを維持するようにしています。接続する場合はそれぞれのスイッチを入れなおします。このシーケンスを変更することも可能です。
1.5kV の高電圧を切り替え可能なスイッチングボックス

スイッチングボックスは、ノイズ、スイッチ接点の起電力の影響、排他処理など意外と面倒です。
ぜひ、当社にお任せください。

(編集子ss)

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2008.12.21[ 直線型プラズマ源 ]

近年、プロセスは大面積化に向かいつつあります。
しかしながら、プラズマを大面積化しようとすれば、莫大な電力が必要になり、装置が大型化、高価格化することは避けられません。 しかしながら、世の中のプロセスには、大面積であればあるほどコストに厳しくなる用途があります。 そうした目的のために、既存の真空装置の小口径フランジを通して、プラズマ源を導入する方法について考えてみました。
下図に概念図を示します。
帯状の処理物を処理するために直線型プラズマ源を作り、処理物を走査することにより、 全面にプラズマ照射するというアイデアです。
直線型プラズマ源1

プラズマ源は、弊社が最も得意とするマイクロ波励起方式を採用しました。 マイクロ波導入はなるべく小口径とするためにリッジ付導波管を採用しました。 下図の左側が通常の導波管で、右側がリッジ付導波管です。必要なフランジ口径が、70%近くに小さくなることがわかります。
直線型プラズマ源2

下図は、シミュレーションによる導波管表面の電流密度を示しています。 シミュレータは、COMSOL MultiPhysics を使用しています。 製作前に、先端まで効率よくマイクロ波が伝達することが確認できました。
直線型プラズマ源3

下図は、実際に作ったプラズマ源です。実際にプラズマが放電していることを確認しました。
直線型プラズマ源4

(編集子ss)

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