[真冬のトレーニング実施中・・・]
アナログ回路技術者が良く使う測定器の一つにオシロスコープがある。
オシロスコープは、電圧の時間変化を表示する基本的な測定器の一つである。
オシロスコープには、アナログオシロスコープ(以降、アナログオシロと略記する)とデジタルオシロスコープ(以降、デジタルオシロと略記する)がある。アナログオシロは、近年、数が急速に減少してきており絶滅危惧種に指定しても良いであろう。
アナログオシロは、昔々のテレビと同様にブラウン管(正確には、冷陰極管 Cathode ray tube、以下CRTと略記する)を使って表示する。
[全長の長いアナログオシロ]
プロが汎用のオシロスコープを新規購入するとして、中古のジャンク品や激安品など特別な場合を除いて、アナログオシロを候補に挙げる技術者はまずいないであろう。
その理由の一つとして、全長の長さがあげられる。アナログオシロで使われるCRTは、テレビが電子線を磁界で偏向するのに対し電界で偏向する。
電界で偏向する理由は、高速応答させる必要があるからだが、電界での偏向では、テレビのように大きな角度で偏向させると、線がぼける。そのため、数度の偏向角しか取ることが出来ず、結果的に全長が長い。
そのため、アナログオシロは奥行きが長く、通常の実験卓や事務机などでは、奥行きのほとんどを占領してしまうことも多い。
この点、デジタルオシロは多くは液晶ディスプレイを使用しており、奥行きがアナログオシロの約1/3と小さくコンパクトであり、実験卓を広く使うことが出来る。
[アナログオシロとデジタルオシロの違い]
アナログオシロは、入力電圧を増幅し、この電圧をCRT内の偏向電極に印加し、電子線を偏向する。そのため、アナログ回路および電子線さえ信号に追従すれば、信号を表示できる。
一方で、内部に信号を記憶する機構がないので、単発の現象の表示は、その現象が生じた一回きりのみで繰り返して表示されることはない。単発の現象は、CRTに瞬間的に残る残像を目に焼き付けるしかないのである。
そこで、アナログオシロの中にはCRTに特殊な機構を組み込んで単発現象の輝線の残像を残すストレージオシロスコープというのも存在した。ストレージオシロは、単発現象を長時間表示することが出来る。
デジタルオシロでは、入力信号を増幅した後、A/Dコンバーターを用いてデジタル信号に変換しメモリに記憶し、コンピュータと同様な仕組みで液晶ディスプレイに表示する。内部にメモリがあるので、単発現象を記憶し継続的に表示することができ、USBメモリなどにファイルとして保存することも可能である。
このように単発現象の観察に関しては、デジタルオシロは圧倒的に便利である。
[デジタルオシロの欠点]
デジタルオシロには致命的な欠陥がある。A/D変換においては、信号のサンプリングが離散的であること、すなわち、サンプリングとサンプリングの間は、入力信号を検知しない時間帯が存在する。そのため、非常に細いパルス信号などを見逃しやすい。例を図1に示す。
図1の3つ波形は、すべて入力としてパルス幅1μsec、繰り返し周波数10kHzのパルス波形を入力している。
(a)は、一見正常であるように見えるが、パルス間隔が不揃いである。
(b)の左半分はパルスが表示されておらず、中間部は波高値が不揃いになっている。
(c)ではまったく表示されていない。
デジタルオシロスコープではこのようなことがしばしば起こりうる。また、初期のころの安価なデジタルオシロでは、2つの波形を同時に表示させたときに、波形が重なり合う部分で波形が消えてしまうといったこともあった。
世界的に著名なメーカーの製品も、東アジアの新興メーカー製を自社ブランドで販売したと思われる例があり、メーカーへの信頼性を落とす結果となった製品もあった。
[教育現場]
このようにデジタルオシロ、特に安価な機種では、信号の消失という致命的な欠陥を持つ製品が多い。そのため、教育現場ではアナログ式をあえて使う場合も多い。
これに対応して、教育用に特化した、あるいは教育現場にのみ販売されている廉価なアナログオシロというのがある。しかし、これらの製品の中には、レンジ間で大きなオフセットが発生したり、表示に大きなひずみがあったりなど、測定器としての機能に問題がある機種がある。
少なくとも、一世代前の国産品とは異なる品質の製品があることは、理解しておくべきであろう。
前述したように、アナログオシロは細いパルスの検出などに向き、デジタルオシロは単発現象の表示に適正があり、特性の異なる測定器である。
研究および生産現場からアナログオシロが払底していく状況において、教育現場において新たにアナログオシロが採用されるのは、いささかの疑問が残る。
デジタルオシロの欠点とそれを補う使い方を教えるのも、教育の一つのあり方ではないだろうか。
[アナログオシロの思い出]
編集子は、数十年前、狛江市にある電力中央研究所にインターンシップでお世話になり、その後、アルバイトもさせていただき、大学3年の夏休みのほとんどを同研究所で過ごさせていただいた経験がある。
インターンシップでは、双方向DC-DCコンバーター、すなわち、電力を1次側から2次側へ、2次側から1次側へと異なる直流電圧の系統間で電力の相互移動を可能とするシステム、の試作を担当させていただいた。
この経験は電子回路技術者としての第一歩であった。このとき、テクトロニクス 465型 というアナログオシロを私物のように使わせていただいた。
輝線が太く明るく、高速の細かい現象も見逃すことなく表示してくれ、オシロスコープの便利さを実感させられた機種であった。期間内に、双方向の電力伝送に成功し結果を残せたのは、優れた指導者がいらっしゃったことが大きいが、このオシロスコープのような優れた測定器に助けられたおかげでもあった。
465型は、おそらく新品を購入すれば軽自動車の価格を遙かに超える価格であっただろう。まさにあこがれの存在であった。
アナログオシロは管面の蛍光物質が劣化すれば寿命が尽きる。明るい輝線は蛍光物質の劣化を早めるので、現在使用されている465型がごくわずかであろう。
2013年5月発行の雑誌RFワールド No.22(CQ出版社)には、「写真で見るオシロスコープの歴代傑作機」と題して、465型も取り上げられていた。RFワールド編集長の小串様からは、今でも現役で動いている465型があると伺っている。
使い続ける気持ちは、非常によくわかる。個人的には、使い勝手では、465型に勝る機種はないと今でも思っている。
今世界中で盛り上がっていることといえば、“FIFAワールドカップ”!!
残念ながら日本は敗退となってしまいましたが、
どこの国が優勝するのか今後の試合も楽しみですね。
そんな今年のワールドカップは、「ゴールラインテクノロジー」という仕組みが、
初めて活用されていることでも話題になっています。
「ゴールラインテクノロジー」とは、
試合会場の屋根に設置された14台のセンサー付カメラを駆使し、
画像処理によってコンピューターがフィールド内のボールの動きを認識するといったもので、
ボールの動きを5mmの精度で測定できるそうです。
あらためて幅広い技術が研究され、その技術が私たちの生活に使われているのだなぁと感じました。
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夏のスポーツと言えば水泳ですが、学生時代カナヅチだった私にとってプールの授業は大嫌いでした。 授業の前日は「見学」の理由を考えてばかり・・・とにかく中止になる事を祈ってました。
そんな私でしたが、今から20年前の31歳の時、スイミングスクールへ通うことに。
2ヶ月程で25m泳げるようになり、「死んでもイヤだ」が「死ぬほど好き」になりました。
泳ぎたくなったキッカケは何だったのか思い出せませんが、考えが180°変わる事のおもしろさ、大切さを感じます。 今は健康維持程度に無理せず泳いでいます。
スポーツに関して、アリオス内では野球やテニス、ゴルフの人気が高いのですが、
水泳にもちょっとは興味を持ってもらえればと思います。
そして、何事にも若いうちに経験して、上達する事を願っています。